最近の医療保険の主力は「一(いち)入院60日型」というものです。
数年前までは、一入院120日型も普通に販売されていましたが、ここ数年はこの「60日型」が各保険会社のメインの商品です。
ちんぷんかんぷんの人もいるでしょうから、改めて説明すると、この一入院60日型の意味は、
「一回の入院で60日分までの入院給付金を支払えます」
という意味です。
つまり、何かの病気やケガで入院した場合、普通はある程度回復するまで入院を続けますが、その「連続した入院(=一入院)は60日型ならば60日分までは入院給付金をお支払いします」ということです。
例えば、胃潰瘍で20日入院したならば、20日×(契約している一日の入院給付金額」を支払いますということになるわけですが、交通事故で70日入院したならば、60日型の場合は、60日×(契約している一日の入院給付金額)は支払えますが、オーバーした10日分は支払いませんということになります。
そこでよくある疑問は、
「例えばある病気でいったん入院して、給付金を貰い、その後一度退院したが、またその病気で入院したらどうなるのか?」
というものです。
ありがちな例を以下の図に書いてみましたので、それを参考にして欲しいのですが、この際のポイントは、
「同一の疾患などで入退院を繰り返しても、180日を経過後の再入院ならば、同一の疾患などによる入院日数のカウンターは0に戻り、また、60日型ならば、連続して60日間分の入院給付金がもらえる」
という点です。
このように繰り返して入院をするんだろうか?、という疑問はあるかもしれませんが、「ああ、よかった」と思えるときがあるかもしれませんね。
ところで、ここで誤解を生みやすいことを説明しておきます。
180日経過後、カウンターが0に戻ると書きましたが、間違った考え方から、誤解を生む説明をしている保険募集人の方や、それをそのまま信じているお客様がいます。
この「180日経過後」というのは、「入院して60日の枠が終了してから」ということではなく、「その入院が終り、退院してから180日経過後」ということです。
ありがちな間違いは
「何かの病気で60日以上入院しても、60日が終わってから180日経てば、またカウンターが0に戻りますからね」
という説明です。
例をあげると、ある病気で70日間入院したならば、60日分のカウントが済んで、そこから10日たって、退院してから、さらに180日経たないと、60日間の枠は0にはならない、といことです。
そうなると、
「60日型の医療保険で重い病気で長期連続入院したら困るので、一入院360日型とかに入った方がいいんですね」
という不安が聞こえてきそうですが、その不安を解消するために、3大疾病や他の生活習慣病などで入院日数を長くとれたり、無制限になるというような内容の医療保険も発売されています。
医療の現場では短期入院が当たり前になりつつありますので、60日型やもっと短いタイプの医療保険にしておき、オプションなどで「万一の重大疾病での長期入院に備える」という選択をして、無駄な保険料を抑える、という方法が、私たちがお勧めしたい「医療保険選びのポイント」と言えます。
以上、医療保険にありがちな誤解について書いてみました。
最後にもう一つ。
先の例でお話した「60日型」というのは、今までは「一つの病気で60日間」という考え方が主流でしたが、この2年ほど「病気またはケガで60日間」というカウント方法をとる会社が増えてきました。
ですから、保険料と、保障の内容を精査する場合は、そのどちらの基準を採用しているかも気にしていただきたいと思います。
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