この前ですが、精神疾患と生命保険契約についての記事を書きました。
精神疾患と生命保険契約について~うつ病や統合失調症の方と医療保険
このような相談が寄せられる背景には、精神疾患や生活習慣病の人が、いわゆる「普通の保険」に加入するのが難しい、という現実があります。 ただ、最近は、生活習慣病については
- 症状や数値が安定している(投薬や治療をしているのが大事です)
- 合併症がない
- 入院や手術歴がない
などの条件を満たせば、一般の生命保険に加入することが難しくなくなりつつあります。
例えるならば、高血圧や痛風、脂質異常症と判定を受けても、投薬治療でコントールできていれば、契約を引き受けましょうという保険会社も増えてきました。
その一方、精神疾患~統合失調症、うつ病など~を持病としている場合、症状が安定しても、なかなか一般の生命保険商品での契約は難しくなります。
このような保険会社の考え方は、医療の世界、つまりお医者さんが考える精神疾患のリスクとは全く違います。
ですから、精神疾患が持病の方にとっては、この保険会社の考え方は理解しがたいと思われます。
ただ、この「生命保険契約」については、文字通り「契約」である、という事実も受け止めなければいけません。
さて、このような「保険契約の環境」の中、時々、誤った考え方が「一般化」してしまっていることがあり、それを今回はご紹介します。
なぜ、こういうことを書くことにしたかというと、あるきっかけがあります。
私は仕事で障害者支援をしていますので、時々、「障害者と生命保険契約」に関するご相談が寄せられます。
そんな状態ですので、先日とある本を購入して、勉強しておりました。
その本は「精神疾患が持病の方が、ご自分が抱えてしまっている困りごとについて、同じような困りごとの経験者が回答する」という内容のとても興味深いものでした。
実は、その中に問題の箇所がありました。 その内容を要約するとこうなります。
「私は統合失調症で治療をしています。私のような状態の人が加入できる生命保険はありますか?」
それに対する何人かの回答がありましたが、その中の一つが問題でした。
「私は精神疾患の治療歴がありましたが、とある日本の大手生命保険会社の社員さんから、普通の保険に加入しました」
「加入に際して、その保険会社の人から、2年間は保険を使わないで欲しい。2年経過後はどんな病気でも保険金を支払います、というアドバイスをされ、そうして加入しました。ですから、あなたのお知り合いの保険の人に相談してください」
という驚きの内容で、これを出版していいのかなぁ、とも感じました。
この2年間はがまんしてうんぬん、と言うくだり、あなたのは何のことかわかるでしょうか?
おそらく、これは告知義務違反に関する項目のことを言っているのだと思います。
この2年刊うんぬんの項目については、以下を参考にしてください。
もし、保険契約時に「病歴は書かなくていいけど、2年間は保険を使わないでね」といわれ、告知しなければ、これは告知義務違反になります。
しかし、これは私の意思ではなく、保険の営業さんに勧められたものです、という主張が認められれば、保険の営業さんの不告知教唆という大きな問題になりますので、営業さんとしては「知りません」と主張するしかないと思われます。
でも、保険金はもらえるんでしょう、2年間何もしなければ、というあなたのご意見には、以下を参考にしてください。
少しまとめてみましょう。
精神疾患の病歴がある→保険の契約をする→告知をしなかった→あなたの告知義務違反となる→そのご病気では保険金は支払われない可能盛大
精神疾患の病歴がある→保険の契約をする→告知をしないように進められた→不告知教唆となり保険金は支払われる可能性も
(しかし、あなたが告知しないと自分で決めたとなると上になることも)
自分に不利益がないようにしたい、という気持ちは誰にでもあります。
しかし、そのことを法律に触れるようなやり方で実現しても、そこに待っているのは「それ相応の結果」でしかありません。
「2年間なにも請求しなかったら、2年後以降は保険金が支払われるよね?」
という話を、よく聞きます。
そういうことを吹き込んでいる日本の大手保険会社の募集人や、代理店職員などは、この「告知義務違反」の項目を、あなたのためでなく、自分のために「都合のいいように勝手に解釈している」ということに気付いてください。
精神疾患を持病としていると、それだけで、保険契約においては、特別視されていると感じてしまうこともあるでしょう。
かつて同じような扱いをうけていた高血圧などの生活習慣病も、今では、保険会社の契約引き受けの判断は大きく変わりました。
精神疾患についても、どこかの保険会社が、今までとは異なる契約引き受けの判断基準を採用してくだされば、その考え方が保険業界にも広がすかもしれません。
そんなことを期待しています。
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